日EU経済連携協定とイタリア法|日本企業の輸出・投資
日EU経済連携協定(EPA)は2019年2月に発効し、国際取引の市場アクセスを支えています。ただしEU製品規制やイタリアの国内法上の義務とは分けて扱います。
協定が扱う領域
EPAには物品貿易、原産地、関税、市場アクセス等に関する規定があります。関税の優遇が受けられるかどうかは、製品の原産地と該当規定・証明資料を踏まえた個別検討が必要です。商業上の原産国表示と優遇原産地の認定を同一視することはできません。
市場投入時に残る規制
工業製品をイタリアで販売する場合、該当する製品安全法、化学物質規制、包装材EPR、電気電子機器・電池等の個別制度が適用され得ます。関税優遇の存在はCEマーキングや登録義務の免除を意味しません。
契約・当事者の責任
製造者、輸出者、イタリアの輸入業者、域内子会社、代理店の役割と、契約上の書類提出、情報提供、当局対応、リコール費用の分担を確認します。協定・税関・技術規制の専門的判断は必要に応じて分担します。
初期検討に必要な資料
品目・原産地資料、輸入業者と販売経路、契約書、製品適合文書、登録の有無を確認することが、対象法令と責任主体、手続、期限を整理する出発点です。案件に応じて求められる資料は異なります。
公的資料:欧州委員会:日本企業向け輸出情報。
検討のための詳しい解説(日本企業向け)
EPAで軽減される関税と軽減されない規制
日EU経済連携協定(EPA)は2019年2月1日から適用され、物品の関税や市場アクセスに関する枠組みを整えています。しかし、協定による特恵関税を利用できることと、製品がEUの安全・表示・環境規制を満たしていることは別の問題です。イタリアへの輸出案件では通関と製品法規制を並行して検討します。
原産地規則と証明書類
特恵関税の利用には品目別の原産地規則が関係します。日本から出荷した事実だけで原産品となるわけではなく、原材料や製造工程について協定の要件を確認します。原産地に関する申告(statement on origin)や輸入者の知識(importer’s knowledge)の制度があり、証拠資料と通関申告の整合性が重要です。
日本企業の輸出契約に反映すべき事項
原産地資料の提供、品目分類、通関上の照会、輸入者による確認、商品の規制適合性、輸送・保険、検品と品質不適合、当局への説明の協力範囲を分けて定めます。EPAの特恵関税に関する申告義務と、イタリアのEPR・製品安全・消費者法上の義務を一つの条項で処理することは適切ではありません。
製造業の具体例:部品の原産地と製品適合性
日本で組み立てた精密機器に第三国産の主要部品が含まれる場合、原産地資格は協定の品目別規則で判断します。同時に、製品によっては電気安全、化学物質、CE適合性、廃電気電子機器の処理に関する別個の制度が問題となります。原産地審査が完了したことを理由に製品規制の法的調査を省略することはできません。
一次資料・公的情報
欧州委員会:EU–Japan EPAと原産地手続 · 欧州委員会:日本企業向け輸出情報
関連分野
個別事案では適用法令、利益相反、期限と業務範囲を確認したうえで受任を判断します。初回連絡のみでは委任契約は成立しません。
